家での仕事に集中できない方は、もし近場にコワーキングスペースがあれば、きっと通い詰めてしまうのではないでしょうか。また、会議やセミナーを承っているところもあるので、どんなサービスが自分に合っているのかも含めて、名古屋市内のコワーキングスペースをチェックしていきましょう。
コワーキングスペースとは?各オフィス形態との違いも確認

時間というものは有限で、その中でいかに効率的に業務をこなしていくかが課題です。コンスタントに成果を出すには、いかに集中できる作業環境であるかも重要視すべきでしょう。しかしコワーキングスペースを利用することで、そのような課題をクリアできるかもしれません。
ここでは、コワーキングスペースの基本的な知識と、類似サービスのシェアオフィスやバーチャルオフィスとの違いについて、解説させていただきます。
コワーキングスペースとは?
コワーキングスペースの発祥はアメリカで、IT企業が軒を連ねるシリコンバレーからほど近い、サンフランシスコになります。コワーキングスペースとは、「Co…共同で」「Working…仕事をする」を組み合わせてできた言葉になり、さまざまな人たちが出入りして、仕事をするための場となっています。
事務所や打ち合わせを行う場所など、スペースのみを共有し、各々が独立した仕事ができる環境になっているため、これまでにない作業環境で仕事に取りかかることができます。用意されている作業環境は、広々としたオープンスペースをはじめ、最近では集中して仕事ができるよう、個別ブースの設置をするケースも増えているため、さまざまな需要をカバーしていることが、うかがえるでしょう。
コワーキングスペースは、主にフリーランスやスモールカンパニーで勤める人たちが、開放されたワークスペースを共有することで、それぞれが自分の仕事をすることとなります。その中で、本来は関わることがない人たちとコミュニケーションをとり、それを経ていくことで情報や知見がお互い得られ、協業パートナーの発見につながるでしょう。
コワーキングスペースは、そうして相互利益の関係を築く、「ワーキング・コミュニティ」のコンセプトや、そのスペースを意味しています。
なおコワーキングスペースは、働ける環境があらかじめ整備されており、オフィス家具やOA機器、ドリンクサービス、会議室、清掃サービスなどが付属されていることが基本です。受付スタッフが常駐している店舗が多いですが、中にはいないケースもあり、またドリンクサービスがないこともあるので、ホームページなどで確認がとれない場合、必要であれば問い合わせるようにしましょう。
コワーキングスペースは、家やカフェなどの飲食店以外に、集中して働ける場所がほしい、フリーランサーやテレワーカーの方には、特におすすめです。ほかには、場所がいらず起業コストをかけたくない起業家の方、コミュニケーションを取りながら仕事をしたい人、安い賃料でOA機器や受付サービスなどの共有サービスを利用したい人、パソコン以外の仕事道具を必要としない人にとって、快適な作業環境となるでしょう。
コワーキングが普及した背景としては、次のことが要因になっていると考えられます。まずアメリカのコワーキングの大手企業が日本に進出したことや、テレワークへの移行が避けられない状況になっていったことも挙げられるでしょう。
ほかには、大手企業による働き方改革の一環で、異業種・個人間のコミュニケーションを促進し、イノベーション創出やイメージアップ戦略なども図っています。またコミュニケーションや定着率に課題のある障害者も、働きやすい環境であることから、障害者就労支援などの役割を果たし、社会貢献や多様な雇用の創出にもつながっています。
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- コワーキングスペースというのは、さまざまな作業を行うための環境が整っているスペースのことを指す言葉
- オフィス家具やOA機器、ドリンクサービス、会議室などが基本サービスとして完備されていることがほとんど
- フリーランサーやテレワーカーにおすすめ
各オフィス形態(シェアオフィス(レンタルオフィス)・バーチャルオフィス)との違い
レンタルオフィスとも呼ばれる「シェアオフィス」とは、複数の利用者が、ひとつの部屋を共有し、作業するもので、コワーキングスペースとよく似たサービスとなっていますが、特に定義が設けれらているわけではありません。しいて言うなら、コワーキングスペースの方は、その環境を活かして、コミュニケーションが推進されているサービスとなるでしょう。
そしてもうひとつの「バーチャルオフィス」とは、言葉そのままに「仮想空間の事務所」を意味しています。オフィスとして個室や占有する空間がなくても、事業が行える環境を指しており、住所や電話、郵便物の受け取り・転送といった、事務所の最低限の機能のみが提供されています。
このサービスは、登記を必要としない場合に、便利でおすすめなオフィス形態と言えるでしょう。また、共有の会議室やデスクスペース、電話代行サービス、ロッカーなどの利用も行えるサービスも、中には見られます。なお、コワーキングスペースには、バーチャルオフィスにも応じているサービスもあります。
コワーキングスペースは、その自由な就労環境から、これまですくい上げることのできなかった人たちの悩みを受け止めたり、新たな道を開くことができる、無限の可能性を秘めたサービスと言えるでしょう。
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- シェアオフィスは、ひとつの部屋を複数人で共有して作業を行えるサービス
- バーチャルオフィスは実際のオフィスを利用できるのではなく、私書箱に近いサービス
- コワーキングスペースにもバーチャルオフィスに応じたサービスをしているところがある
【コワーキングスペースと賃貸オフィス】選ぶならどちら?

それでは、コワーキングスペースは賃貸オフィスと、具体的にどう違いがあるのでしょう? メリットやデメリットも踏まえて、どちらを選ぶべきか判断しましょう。
コワーキングスペースと賃貸オフィスとの違い
賃貸オフィスは、自社のみで物件を占有して賃貸契約を交わし、そこで業務を行うものになります。不動産業者を仲介して空室を借りることになるので、実際に業務をスタートするまで、時間とコストを要するでしょう。
対してコワーキングスペースは、共働ワークスペースとなり、作業や会議をするための場所を一般に開き、共有スペースとしてそれぞれが独立した業務にあたる場所となります。
コワーキングスペースのメリット・デメリット
コワーキングスペースは、利用が難しい業種を除き、特に起業家の利用に関しては、メリットが非常に大きいと言えるでしょう。
まず1つ目のメリットですが、初期費用やランニングコストが抑えられるため、「コスパがいい」という点です。オフィスを借りる場合、およそ半年~1年分の家賃にあたる保証金を支払わなければなりませんが、コワーキングスペースの場合は入会金が無料~数万円で、保証金は無料~数十万円で済む場合がほとんどでしょう。
自宅では仕事に集中できず、ファミレスやカフェなどに仕事を持ち込みたいという方の場合、そのたびに飲食代がかかることを考えると、日常的な利用ができずに断念してしまった方もいるのではないでしょうか。しかしコワーキングスペースのような、低価格の決まった金額形式だと、諦めていたことを実現できるでしょう。
また、コワーキングスペースは賃貸ではないため、家賃がかかりません。かわりに利用料金として、月々数千円~数万円(およそ1~3万円の間くらい)程度の費用がかかりますが、賃貸と比べるとランニングコストを低く抑えられます。また、一時利用や時間貸しの「ドロップイン(ビジター)」というサービスを採用しているコワーキングスペースもあり、この場合、数百円単位から利用できるでしょう。
2つ目のメリットは、「事業をすぐにスタートできる」ということです。賃貸オフィスでは、契約に際して、さまざまな手間がかかるため、スタートに1~2ヶ月ほどの時間がかかってしまうでしょう。しかしコワーキングスペースであれば、さまざまな設備が整っているため、そのような手間が一切ありません。
そして3つ目のメリットは、「オフィス環境が充実する」という点です。たとえば、基本的にコワーキングスペースは、立地がいい場所で展開しているため、アクセスや周辺環境が充実したエリアで作業できるでしょう。
また、ほかの利用者とのコミュニケーションが増えることから、新しい仕事の話へ発展する機会が増えます。近い業種の人も集まりやすいため、悩みや価値観も理解しやすく、モチベーションにもつながるでしょう。
そして常にキレイなオフィスで作業できるため、作業勧業を維持する手間やコストもかかりません。デスクやWiFi、プリンタにプロジェクタなど、仕事に必要なものも、おおむね充実しているので、それらを揃えるための場所や費用を用意せずに済むでしょう。ドリンク類も無料で提供されているケースが多いのも、快適な環境づくりに一役買っています。
ただし次のようなデメリットもあるので、ご注意ください。
コワーキングスペースは、フリーアドレスで専用席がないため、作業スペースが確保できるかの保証がありません。しかしそれは、低価格を実現する要因でもあるので、そちらも留意しておきましょう。
また、多くの方が利用することから、特にオープンスペースの場だとワイワイした環境から、集中できないこともあります。そういった環境が合わない場合は、個別ブースが利用できるところを選びましょう。
そして特に注意したいのが、セキュリティの面です。さまざまな人との交流の場となる反面、知らない人が常に出入りしている環境でもあるということです。パソコンや貴重品の管理など、席を立つときは十分に注意しましょう。
賃貸オフィスのメリット・デメリット
賃貸オフィスの1つ目のメリットは、多くの場合「24時間利用できる」ことがまず挙げられます。コワーキングスペースの場合は利用時間が限られているため、キリのいいところで仕事を終わらせることができないことも起こりますが、賃貸オフィスは、そのような不安はないでしょう。
2つ目のメリットは、「オプション費用」が発生しない点にあります。コワーキングスペースでは、プリンタなどのオプションサービスには、別途利用料金を設けていることがありますが、賃貸オフィスでは、基本的に自社で設備を用意するため、揃えてしまえば自由に使うことができます。
デメリットも見ていきましょう。
賃貸オフィスはやはり、「コストがかかる」ことが、大きなデメリットとなっています。初期費用やランニングコストだけでなく、クリーニングや移転費用などの退去時費用も支払わなければなりません。またアクセスが悪い、あるいは不便な環境へ出勤することもあるため、このような要素は何気にモチベーションを蝕んでいきます。
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- 賃貸オフィスは賃貸契約を交わして物件を占有するのに対し、コワーキングスペースは不特定多数の人が出入りする共働ワークスペースになっている
- コワーキングスペースはコスパがよい
- 面倒な手続きなしですぐに事業をスタートできるのもコワーキングスペースのメリット
- 設備や他業種の人と交流する機会が豊富なのもコワーキングスペースならではのよい点
- 作業スペースを必ず確保できるわけではない、セキュリティ面に不安がある、人が多くて集中できない場合があるなどのデメリットもコワーキングスペースには存在する
- 賃貸オフィスは24時間利用可能で、オプション費用が発生しないのがメリット
- コワーキングスペースと比べてかなりコストがかかるのは賃貸オフィスのデメリット
- 総合的に見ると、コワーキングスペースのほうがおすすめ
【名古屋市内】コワーキングスペースの料金相場とは?

中部地方で展開しているコワーキングスペースのほとんどは、名古屋駅周辺に集中しているため、ここで紹介するのは、ほぼ名古屋市の相場と考えていいです。
まず、「固定席」の月額価格相場は、中部地方が10,000~15,000円ほどになります。首都圏は30,000円~50,000円ほどで、関西地方は12,000~40,000円くらいになるので、この2都市よりもずっと低価格帯と言えるでしょう。
次に、オープンスペースのような「自由席」の月額価格相場は、中部地方が5,000円~10,000円程度で、関西地方も大体同じくらいの料金相場ですが、首都圏は10,000円~15,000円となっています。自由席の場合は、固定席や個室よりも安く利用できることがうかがえるでしょう。
なお、大きく自由席や固定席といった分け方をしていますが、店舗によってプランの内容が異なる点も把握しておきましょう。たとえば、利用する時間帯や曜日別の会員制や、チェーン展開しているサービスであれば、全拠点で使えるプランとそうでないものとに分けていたりとさまざまです。またほかにも、そのとき限りのドロップインのようなサービスもあります。
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- 固定席の月額価格相場は10,000円~15,000円ほど
- 自由席の月額価格相場は5,000円~10,000円程度
- 店舗によってプランの内容は異なるが、基本的に首都圏よりかなり安い
コワーキングスペースを選ぶ上でのポイント

コワーキングスペースは、店によってサービスは異なるため、選び方を見極める必要があります。ただ利用するのではなく、なぜ利用する必要があるのか、あらかじめ目的を整理したうえで、どこのサービスを利用するのか決めていきましょう。
たとえば個人・法人、どちらの名目で利用するのか、セミナー会場を探しているのか、勉強場所がほしいのかなど、このようにハッキリさせておくに越したことはありません。そうすれば、どんな環境を提供しているコワーキングスペースが、自分の目的に合っているのか、明確になっていきます。これらを決めたうえで、次のポイントを押さえておきましょう。
料金
コワーキングスペースの料金システムは、月々の定額料金を支払う「月額制」と、1日・時間単位で料金精算をする「ドロップイン」の2パターンがあります。日常的に利用したいのなら月額制を、たまに立ち寄る程度ならビジターを利用するといいでしょう。
ただし、どちらの利用形態も設けていないシステムの店舗もあるので、あらかじめホームページなどでチェックしておきましょう。
また月額制では、平日・週末・夜間限定のプランを用意しているケースもあります。このような限定的な時間のプランは、学校帰りや仕事帰りに勉強したいという方や、副業などをしたい方におすすめです。
設備
コワーキングスペースには、パソコンなどをつなぐ電源やWiFiなどが基本設備となっていますが、それ以外の設備が必要な場合もあるでしょう。
たとえば、もし頻繁にミーティングをする機会があるようなら、会議室があるところだと便利です。その場合、必要に応じて、プロジェクターなどがあるかも確認するといいでしょう。
パソコンをそもそも持っていなかったり、ディスプレイが余分に必要な場合は、これらの貸し出しサービスも受け付けているところを探しましょう。ほかにもFAXやプリンタ、スキャナーなどを使用しなければならないのであれば、そのような設備を導入しているコワーキングスペースをチェックしてみてください。
また、貴重品などを常にそばに置いておくのがわずらわしかったり、余分な荷物を持ち込む場合は、ロッカーが置かれているところを選びましょう。共有スペースでワイワイ仕事をするより、一人で黙々と仕事をしたい場合は、個別スペースが充実しているかどうかも確認してください。
このように、利用目的に合わせた選び方をしていくことも大切です。
立地
特に日常的に利用する場合だと、立地は重要なポイントとなるでしょう。
たとえば、自宅や駅から近い距離にあれば通うのが楽ですし、夏や冬の時期は、なおさらでしょう。ミーティングなどをする場合は、やはり駅近の方が、相手への配慮にもなります。
ほかにも、飲食店やスーパーがあれば、食事をすぐ済ませることができます。また、ジムやリラクゼーション施設などがあれば、すぐ身体をほぐせたりと、周辺環境は充実していることは、コワーキングスペースを利用する上で、快適さを向上させることにもつながるでしょう。
また法人登記や住所利用をするのであれば、土地のブランド力も選び方のポイントとなります。
付加サービス
また、付加サービスにも注目しましょう。コワーキングスペースで起業するのであれば、バーチャルオフィスなど、法人登記に応じているかは非常に重要です。もし起業する可能性がある場合は、法人登記できるコワーキングスペースを選びましょう。
ほかにも、会員同士の交流会を開催していたり、仕事の相談受付や、税理士や弁護士などの専門家がサポートをしているところもあります。起業やオフィスとして利用することを検討している場合は、必要な付加サービスが充実しているかをチェックするのも、選び方のポイントのひとつとなります。
コワーキングスペースとひとことに言っても、誰にでも合うサービスであるとは一概には言えません。ここで紹介させていただいた、以上のポイントをチェックして、自分に合ったコワーキングスペースを選びましょう。
ポン
- 料金プランは月額制やドロップイン、平日・週末・夜間限定などさまざまなので、自分に合ったものを選ぶとよい
- 設備も店舗によってかなり異なるので、会議室やロッカーなど、自分が必要だと思う設備のあるところを選ぶのがおすすめ
- 通いやすさや法人登記をする場合のことを考慮して、立地にもこだわったほうがよい
- 法人登記に応じている、利用者同士の交流会が開かれているなど、付加サービスを重視するのも賢い選択